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牛久で80年続く豆腐屋「大黒屋」のご夫婦の物語

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初取材は、駅西口6号線沿いのお豆腐屋

【大黒屋】さん。

【大黒屋】さんは、お豆腐以外に敷地内の

空きスペースで駐輪場も営業されています。

実は、僕も12年前から原付を置かせていただき

大変お世話になっています。

とはいえ、「おはようございます」と

「こんにちは」ぐらいの会話であまりお話を

した事がないので、今回じっくりお話させて

いただきました。

(あとは、お礼も言いたくて。それは最後に。)

牛久新聞
こんにちは~。

おばさん
どうしたの???

牛久新聞
豆腐について色々とお話聞きたくて。
どこかお時間下さい!!

おばさん
豆腐について・・・(驚)
いいけど、いつがいいかね?

牛久新聞
日曜日はいかがですか?

おばさん
いつもは休みなんだけど、
今週は「とくとく市」なんだよね、朝から。

牛久新聞
ん?「とくとく市」??
そこ行きます!いいですか?

おばさん
いいよ~。んじゃ、待ってるから。

という事で、初取材は昨年12月に牛久市営青果市場で
開催された
「とくとく市」からスタート!!

とくとく市

牛久市が毎月第4日曜日(12月のみ第3日曜日)に、生産農家と青果店並びに消費者が共に集う事を目的に牛久市営青果市場で開催されるイベント。

取材日は、買い物券付き”たまねぎ”100袋

限定販売&年内最後ということもあり、

駐車場もパンパンの大盛況。

野菜や果物以外に、揚げ物もあったりなんかして

これは賑わうな~といった印象。

大黒屋のご夫婦発見!

牛久新聞
おはようございま~~す!来ちゃいました。

おばさん
あら(笑)

牛久新聞
“木綿”、”絹ごし”、”厚揚げ”、”がんも” を下さい。

おばさん
480円ね。

牛久新聞
(安い!)
お忙しいそうなので、後ほどお店伺いますね。

おばさん
はいよ。

お二人が並んでお豆腐を売る姿を見るのは初めて。素敵だなぁ~。

牛久豆腐のレジェンド【大黒屋】

牛久新聞
またまた、こんにちは。

おじさん
はいよ。

牛久新聞
年末の忙しい時にすいません。。。
いや~、「とくとく市」初めて行きましたよ。
大盛況ですね。

おばさん
今日は、イベントもあったしね。
かっぱバンドが来る時なんかも混むよ。

牛久新聞
若いんですか?バンドの皆さんは??

おじさん・おばさん
いや、オヤジだよ。

牛久新聞

では、改めて、、、。
普段、駐輪場お借りしてお世話に
なっているんですけど、大黒屋さんの事を
全然知らないなぁと思って、
今日取材をお願いしたんです。
まずは、お二人のお名前を教えて下さい
(そこからかい!)

おじさん・おばさん
森口章弘と、とも子です(照)

牛久新聞
章弘さん、とも子さんよろしくお願いします。
では、早速色々聞いちゃいます!!
大黒屋さんは営業されて何年ぐらいですか?

とも子さん
親の代からだから、、80年かな。

牛久新聞
80年!!!
章弘さんのお父さんの代からですか!?

章弘さん
そう。

とも子さん
はじめは、この場所じゃなくて、違う場所でやっていたんだよね。
今の場所に移って80年だから、実際はもっと経つのかな。

章弘さん
ここは元々親戚の家で、それを買ったんだよね。

牛久新聞
80年前って、牛久に豆腐屋さんって他にあったんですか?

とも子さん
藤井豆腐さんがあったね。うちよりはやいのかね?

章弘さん
はやかあんめ。

牛久新聞
という事は、、、牛久最古って事ですか!?

章弘さん
そーかもしんないね。

牛久新聞
おおーー!
今は、他のお豆腐屋さんはあるんですか?

とも子さん
うちのおじちゃんのとこで修行した店があって…。

牛久新聞
えっえ!?、おじちゃんって章弘さんのお父さんですか???

章弘さん
んだ。

とも子さん
で、猪子に豆腐屋出したんだよ。
今は、亡くなって息子がやっているんだよ。
吉羽豆腐っていうんだ。

牛久新聞
まさに牛久豆腐のレジェンドじゃないですか~~!(驚)

僕の父は東京へ通う会社員。

父親の送り迎えで、母に連れられて行った牛久駅。

幼い頃の記憶は「木造」と「ションベン臭い」の

2つ。昔の彼女の香水の香りと、

牛久駅のションベン臭さは何故か記憶で香るほど

よく覚えている。

昭和54年 木造平屋建ての牛久駅
昭和57年 上り下りそれぞれ1日29本の運行

そんな牛久に僕が移り住む前から、

豆腐を作り続けてきている大黒屋さん。

お父様から豆腐作りを継いだ章弘さんは、

今年で76歳。とも子さんは72歳。

もともと牛久が地元の章弘さんと、

伊奈(現在のつくばみらい市)に住んでいた

とも子さん。少し突っ込んで、出会いから結婚、

そして当時の生活を聞いみた。

牛久新聞
ご結婚当時もこちらで住んでいたんですか?

とも子さん
そうだよ。
おじさん、おばさん、姉さんと子供、、、私達と私らの子供3人…。

牛久新聞
9人家族ですか!

とも子さん
いっぱいいたよ(笑)
最高10人いた時もあったよ。

牛久新聞
とも子さん、嫁に来て辛かったんじゃないですか?最初は??

とも子さん
あったよ色々。
ハハハハッハハッハ~。

牛久新聞
ですよね、知らない人ばかりの中での
生活ですよね?

とも子さん
いや、実は知らない訳ではないんだよ。
そんなとこから嫁は貰えないから。
私のおばあちゃんと、ココの親は兄弟なんだよ。

牛久新聞
そうなんですね~。

とも子さん
だから、子供の頃はこの店によく遊びに
来ていたんだよ。

牛久新聞
じゃあ、一緒に暮らすようになっても章弘さんの
ご家族を全く知らないという訳じゃなかったんですね。

とも子さん
そうだね。
でも、やっぱり他人の方が良かったと
思った時もあったよ。
ハッハッハ~。

牛久新聞
(ですよね。。。完全アウェー 笑)
ご結婚はおいくつなんですか?

とも子さん
私が、23歳。

章弘さん
27。

牛久新聞
その頃、章弘さんはもう豆腐屋を
やられていたんですか?

とも子さん
やってたよ。
うちのおじちゃんは、脳卒中で倒れて。

章弘さん
高校終わる年の正月にね。

とも子さん
随分復帰はしたんだけど、仕事は出来なかったね。

章弘さん
だから、高校が終わったらすぐにやったんだよ、
豆腐屋を。
前にうちで働いていた人に戻って来てもらって、
仕事を教えてもらったんだ。

とも子さん
当時は売り子もいたんだよ。
うちのおじちゃんは、結構大きくやってたんだ。

牛久新聞
売り子って、あの「プ~ハ~~」っていう
ラッパの?

とも子さん
そうそう。結構いたんだよ、売り子が。
私がたまに遊びに来ると、夜なんか給料計算して
渡しているの覚えてんだ。

章弘さん
その日に売った2割か、2割五分ぐらいを
給料で渡すんだよ。

牛久新聞
へ~~。
章弘さんが高校出て働き始めた時は、
豆腐一丁いくらだったんですか?

章弘さん
あの頃は、20円か25円ぐらいかな。

牛久新聞
今は??

章弘さん
半分で130円だね。

とも子さん
当時は、油揚げが5円ぐらいだね。

章弘さん
なんでも安かったからな。

牛久新聞
でも、数は売れたんですね?

章弘さん
んだな。

牛久新聞
駐輪場はいつからですか?
小さい頃から牛久駅使ってますけど、
ここが駐輪場って事知らなかったです。。。

とも子さん
昭和60年頃からじゃないかな。

牛久新聞
僕が昭和51年生まれなんで、子供達も増え始めて来た頃ですかね。
余談ですけど、当時の牛久駅って木造のションベン臭い駅でしたよね(笑)

章弘さん・とも子さん
そうそう(笑)

とも子さん
駐輪場も一時期はいっぱいで断っていたよ。

牛久市人口

1955年(昭和30年)に約1,500人だった人口が、

1970年代(昭和45年)から年間の人口増加が

約1千人となる。

1986年(昭和61年)には、5万人を超える。

2000年頃(平成12年)から年間の人口増加数は

やや鈍化するものの、一貫して増加が続き、

2014年(平成26年)には8万4,000人を超える。

平成29年から30年の一年間では、約50人と

微増となっている。

牛久新聞
今は減っていますか?駐輪場のお客さんは。

章弘さん
前よりは減ったけど、ここんとこは
あんまり増えたり減ったりしてないんだよな。

牛久新聞
僕、この駐輪場で何十年ぶりに同級生に会ってますよ。2人も!

章弘さん
そーかい^^

豆腐作りのいま

牛久新聞
豆腐作りって、にがりを使うじゃないですか?
気温って関係あるんですか?

章弘さん
関係あるよ。

とも子さん
にがりで作る時は、特に関係あるよ。
気温が高いと固くなっちゃたりするんだよ。
なんて、自分でやってる訳じゃないんだけどね、
ハハハ(笑)

牛久新聞
難しそう。
ちなみに、”豆腐屋が教える美味しい食べ方”ってありますか?

章弘さん・とも子さん
・・・・。

とも子さん
豆腐屋ってあんまり豆腐食べないんだよ。
ハハハハハ(笑)

牛久新聞
えっ!!!
そーんですねーー!
毎日の朝ごはんに作り立て豆腐をなんて
思っていました。

章弘さん
豆乳は毎日飲んでるけどな。

牛久新聞
(ん!?それ凄く魅力的!)

とも子さん
食べ方じゃないけど、毎月第3土曜日に
この辺の婦人会が”豆腐の日”っていうのを
作っているんだ。
その日は、全部国産の材料で作るんだよ。
それは美味しいよ。

章弘さん
婦人会で頼まれた数だけ作るんだ。

牛久新聞
普段は買えないと。
(超絶食べたーーーい (º﹃º) )

とも子さん
そう。

牛久新聞
普段の大豆は中国産ですか?

章弘さん
いや、アメリカ産だな。
国産大豆と比べると値段は倍違うよ。

牛久新聞
”豆腐の日”に婦人会用に作るオール国産豆腐は、
味も違いますか?

章弘さん・とも子さん
違うな〜。

とも子さん
甘みが違う。

牛久新聞
(ますます食べたい。)

とも子さん
国産大豆で、にがりも100%は違うよ~。

牛久新聞
おっ?んっ?
にがりも違うんですか?

とも子さん
普通は「硫酸カルシウム」っていう粉を
使うんだよ。

牛久新聞
へ~(知らなかった!)

とも子さん
普段にがりを使っちゃうと、
130円では売れないからね。

牛久新聞
オール国産豆腐って、レア豆腐じゃないですか。

とも子さん
婦人会以外では、一年に1回「とくとく市」で
100パック出すんだよ。
目玉商品で出すからそれを市場が一度全部
買うんだ。それに、100円引き券を付けて、
100円で売ると。買ったお客さんは、
100円引き券を貰えるから、
豆腐はタダだよね^^
すごい並ぶんだよ~。

牛久新聞
今日の「とくとく市」でやっていた、
買い物券付き”たまねぎ”100袋限定販売と
同じですね。

とも子さん
そうそう。

牛久新聞
今は卸がメインですか?

とも子さん
いや、卸もあんまりないな。
もう歳だからやめたんだよね。。
給食もスーパーもやっていたけど、
今はもうほとんどないよ。
私がちょこっと回って売るのと、
保育園ぐらいかな。

章弘さん
今はゆっくり起きて少し作る程度だよ。

牛久新聞
ゆっくりって、何時ですか?

章弘さん
4時に起きて、5時頃から仕事かな。

牛久新聞
(はや!!!)

章弘さん
昔は、2時とか3時からやったよ。
仕事があったからね。

牛久新聞
なるほど。でも、学校給食とかは
まだあるんですよね?

章弘さん
今は、学校も厳しいんだ。

牛久新聞
どういうことですか?

章弘さん
出来立ての豆腐は、温度が高くてダメなんだよ。
納める時に、10℃以下じゃないとダメなんだ。

牛久新聞
でも、豆腐って出来たてが一番美味しいですねよ??

章弘さん・とも子さん
そりゃそーだよー。

とも子さん
新鮮だし、香りもあるしね。
でも、それだとダメだから、前の日に作った豆腐を
1日冷やしてから学校に納めないといけないんだよ
今は。
そういう事もあって、学校はだんだんやらなくなっちゃったんだ。

※学校給食における食品衛生法で、細菌の繁殖を
防止する理由から温度管理基準が設けられている。

牛久新聞
仕方ないとはいえ、出来立ての豆腐の味、
いやいや本当の豆腐の味を知る事が出来るのに
なんだかすっごく勿体無いですね。

昭和~平成、そして。

取材中、寡黙な章弘さん。

職人気質なんだろうな~と思いつつも、

実は知っているんです、僕は。

仕事帰りに駐輪場に寄ると、ホロ酔いで

鼻歌を歌う章弘さんを(笑)。

豆腐職人以外の一面を覗きたい!!!と思い、

少し話題を変えると、辿り着いたのは

【大黒屋】さんのこれからでした。

牛久新聞
章弘さんに朝ご挨拶すると、「はい、おはよう」って小さな声で。。。
だから、職人気質で頑固な人なのかなと
思っていたんです。怖いなって。
でも、夜、駐輪場で鼻歌を歌ってご機嫌な姿を
何度か見ているんですよ(笑)
章弘さん、お酒お好きですよね~~?

とも子さん
この間も、飲んだ帰りに転んでさー(笑)
ちょうど看護婦さんが通って、脈を見てくれて
なんでもなかったんだけどね。
「渡辺釣具店のところで転んじゃったから、迎えにきて!!」なんて一緒に飲み行った仲間から電話来てビックリしちゃったよ。

章弘さん
ははは。。(照)

やった!でた、意外な一面!!!

とも子さん
顔の右側を打ってさ、腫れちゃって。
2、3日したらパンダみたいに黒くなってさ、
ハハハハハ(笑)

腫れが引いたおでこを触りながら、恥ずかしそうに笑う章弘さん。

牛久新聞
うちの親父もよく血だらけで帰って来ますよ(笑)
でも、よかったですね。大怪我にならなくて。
仕事出来なくなりますからね。

とも子さん
ん~、、豆腐屋も来年やるかどうか、、、。

牛久新聞
えっ!? (いきなり!!)
本当ですか?冗談ですよね???

とも子さん
はははは(笑)
いやいや、それぐらいな感じだよ。
体が調子悪くなるのが先か、機械が先か。
機械も調子悪くてね。
2021年まではやろうかなって話しているんだ。

牛久新聞
なんで、2021年なんです?創業何年とかの区切りとか??

とも子さん
いや、、機械のリース期間が切れるんだ(笑)

牛久新聞
なるほど。
機械の修理をする人はいるんですか?

章弘さん
三浦ボイラー。

ジャ~ン、「三浦ボイラー」

とも子さん
豆腐屋専門の担当がいるんだけど、
その人も仕事無くって今は豆腐屋以外も
やっていて、全国回っているよ。
北海道だの、九州だの行ってるよ。
三浦ボイラーの下請けだね。

牛久新聞
その方、大黒屋さんの裏のキーマンですね!
豆腐作りは、章弘さんがお一人で
やられるんですか?
ご夫婦でやるんですか?

とも子さん
全部一人で出来たんだよ、前は。
油揚げ切ったりするだけだったんだ、私の仕事は。
だから、油揚げ用の豆腐が出来たら起きればよかったんだけど。

牛久新聞
とも子さんゆっくり寝ちゃうんですか、
豆腐出来るまで(笑)

とも子さん
ハハハハハ〜。んだ。
でも、最近はできなくなってきたから、
私もやっているんだ。この頃動作が鈍くてさ(笑)

牛久新聞
なるほど、そういう事もあって大黒屋の今後を考えるんですね。
でも、来年はやりますよね!?

とも子さん
やるよ(笑)

牛久新聞
じゃあ、仕事始めを写真撮らせて下さい。
平成最後の仕事始めを!!

とも子さん
写真、、、撮るの(照)
写真なら、2,3年前に「ブリアントヴィル」の10周年で西口商店街の各店で写真を撮ったんだよ。
大きくしてもらってそこに貼ってあるよ。

ブリアントヴィルは、牛久駅西口をイルミネーションで彩る12月のイベント 

「ニガリ」と「大豆」って最高な写真!

牛久新聞
めちゃくちゃいい写真ですね!!
でも、年明けも撮らせて下さい!是非!

とも子さん
でも、まだ決まってないんだよ、
年明けいつからやるか。
いつもなら、4日には始めるけど今年は
ゆっくりやろうかなと思ってね。
7日ぐらいから始めようかなと思っているんだ。

牛久新聞
わかりました。7日にお願いします!!来ます!

とも子さん
いいよ(笑)

章弘さん
(^_^)

年が明け、僕の仕事始めは1月4日。

いつも通り大黒屋さんの駐輪場に原付を止めると、

なんと大豆いい香りが!

そうです!章弘さん例年通りやっているんです、

豆腐作りを。

なんだか嬉しくなって扉を開けると、

とも子さんもいて、新年の挨拶より先に出たのが

「やっているんですね、今日から!」って。

ゆっくり休んでいられなかったんですね、きっと。

例年通り仕事を始めて、いつも通り淡々と豆腐を

作るってなんだか章弘さんらしいなあ~。

お礼

お二人の人柄がわかるエピソードをもう一つ。
この写真なんだかわかります?

これ、私のバイク。

毎日同じ場所に置くのですが、

地面がすこ~し傾いているんですよ。

その傾きをなおすために、数センチのコンクリ片を

お二人が入れてくれているのです、毎日。

自分で入れろ!って話なんですが、

朝は急いでいてすぐ駅に向かっちゃって。。。

こんな小さなところにも、お二人の人柄が表れて

いるなとずっと思い感謝をしていました。

本当にいつもありがとうございます!

これからも、毎朝大豆の香りを楽しみに

していますね。

「バカ真面目に創業80年」、

「ニガリ」と「大豆」の物語は

平成を超えてまだまだ続きそうで

楽しみです!!

最後に質問

牛久新聞
”かっぱ”を見たことありますか?

章弘さん・とも子さん
ないよ(笑)

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大黒屋
茨城県牛久市田宮町140-5
029-872-0213

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